「あなたが真ん中だ」 マルコ3:1-7

礼拝というのは、飾らない裸の思いと裸の言葉を携えて来る事です。そしてそのようにして集まった小さな群れを神は祝福されます。この世で生きる中で時に強がらなくていけない時もあるけれど、ここでは本当の私でいられる、この小さな私を神は受け止めてくれる、そして私達もお互いに補い合い支え合う、そういう場所が教会であり、礼拝はそのことを具体的に表す時なのです。

1985年に世界的にヒットした曲があります。「We Are The World」という曲。これはアフリカの飢饉と貧困層の援助のために、アメリカの超一流のミュージシャンが一堂に集まって「USA FOR AFRICA」というグループを作って歌った曲です。レイ・チャールズ、ボブ・ディラン、ウィリー・ネルソン、ポール・サイモン、ダイアナ・ロス、スティービー・ワンダー、ビリー・ジョエル、ライオネル・リッチー、マイケル・ジャクソン、シンディー・ローパー、などなど。まだまだ他にも本当にそうそうたるメンバーが参加をしています。この曲が作られる前、参加を表明したミュージシャンたちに一通の手紙が届けられた。そこにはこんな風に書かれていたそうです。「スタジオの入口でエゴを置いて来てくれ。今日はタキシードもイブニングドレスもないパーティーだ」。一人ひとりはスーパースターで、普段はいろんなプライドや肩書、経歴を身にまとっている。関係だってそう。ライバルだったり、仲が悪かったり。「でもね、今日だけはそれらをスタジオの前に置いて来てくれよ。アフリカの飢餓に苦しんでいる人の事、それだけを思いながら、そして共にそのためだけに集まれることを喜ぼう。これはお祭りなんだ」って。そんな中で「We Are The World」という曲は作られたのです。

教会の礼拝も同じだと思います。普段はいろんな肩書がある、いろんな関係がある。でも、この教会のドアをくぐる私は、共に神様の前に裸の思いと言葉だけを携えて一緒に集う、私達の弱さも悲しみも、叫びも聞いてくれる方がおられる事を一緒に喜ぶお祭りをするのです。 (牧師:田中伊策)

「あなたが真ん中だ」 マルコによる福音書3章1-7節