主よ、あなたがわたしの足を洗ってくださるのですか ヨハネ13:1-11

主よ、あなたがわたしの足を洗ってくださるのですか

ヨハネによる福音書13章1~11節

 

ある晩、イエス様と弟子達は食卓の席につかれていました。食事の最中、突然イエス様は立ち上がり、上着を脱ぎ、手拭いを腰につけ、それからたらいに水をくみ始められました。それは足を洗う時に奴隷がする光景です。一同は唖然とします。

 

イエス様は黙々と弟子達の足を洗います。弟子達はイエス様にされるがまま、足を洗ってもらっていました。一番弟子のシモン・ペトロの晩になった時、ペトロは言いました、「主よ、あなたがわたしの足を洗ってくださるのですか」。 ペトロは愚直な人間です。トンチンカンな事もよく言うのですが、誰も言えないような言葉をイエス様に語るのも彼です。

 

「イエス様のなさることだから」と自分に言い聞かせて、疑う事をしないのであれば、それはスイッチで動くロボットみたいなものです。ペトロにはそんな事は出来ません。だから尋ねます。イエス様もまた弟子達にロボットのように従う事を望んではおられません。イエス様は人として従う事を望まれるのです。

 

人として生きたら信じていても悩みはあるし、疑いもあるし、悲しみだってある。そんな私達の心と、イエス様の洗われた足とが重なります。昔はサンダルのようなもので歩いていたでしょうから足が一番汚れる場所です。仕事をしたり、友達のところに行ったり、とにかく生きていたら汚れて行く、傷付きもする、そして痛む。それが足です。

 

その足を弟子となった後もイエス様は洗われます。「もしわたしがあなたを洗わないなら、あなたは私と何のかかわりもないことになる」。生きていたら汚れて来る足、傷付く足、痛む足をイエス様は洗われます。あなたがたを愛しぬく、というメッセージです。 その晩は、最後の晩餐の日でした。その後、イエス様は捕らえられ、不当な裁判の後、十字架にかかられます。愛しぬく先に十字架はあります。 (牧師:田中伊策)