フィリピの信徒への手紙は、「獄中書簡」と呼ばれるものの一つで、伝統的にパウロが、晩年にローマの獄中で書かれた手紙と伝えられています。また、この手紙には喜びに溢れており、「喜びの手紙」とも呼ばれています。どうして獄中にあったパウロは喜んでいるのでしょうか。
一つは、フィリピの教会が成長し続けていたことです。パウロがフィリピで伝道して救われた人は、数人でした。その後、順調に成長しパウロを支え続けました。二つ目が、福音が前進したことです。パウロが投獄されたのは、キリストを宣教したためです。そのことを知ったローマの兵士たちが、福音を開きました。また、ローマ教会の人たちは、パウロの姿を見て伝道に励みます。しかも、パウロに反対者たちも伝道をしたことで福音が広がったのです。三つ目が、「わたしにとって、生きるとはキリストであり、死ぬことは利益なのです」と言うように、自分が生きるにしても死ぬにしてもキリストとともにいることを感謝するのです。そして、四つ目が、福音のために苦闘することも恵みであり、それこそ福音にふさわしい生活です。順調にいっている時だけでなく、苦難の時であっても、失われない喜びこそ、キリスト者の歩みなのです。(牧師 篠田 裕俊)