「光の誕生」 マタイ2:1-12

クリスマスの物語にはイエス様を真ん中にマリアとヨセフ、羊飼い、博士(占星術の学者)たちが囲むようにいるイメージがあります。しかし、羊飼いと博士たちが顔を合わせる場面は聖書にはありません。博士達はマタイによる福音書、羊飼い達はルカによる福音書に記されているからです。

それでも、この羊飼いも博士たちも同じように暗闇の中で救い主の知らせを聞きます。羊飼いたちは野宿をしていてそこの天使が現れますし、博士達は星が知らせてくれました。 野宿をするのは羊の世話をする者にとっては当たり前の事だったかもしれません。ただ、この時期は人口調査でみんなが故郷に帰っている時でした。彼らはみんなには入れてもらえませんでした。暗い気持ちの夜。

博士達は東の国から来ました。直線距離で500キロ以上も離れた場所からやってきた彼らは救い主が見たかった。かつては栄えた帝国は戦いに敗れ、争いに疲れていました。闇の時代。

そこに光が現れたのです。

興味本位ではなくすがるような思いでこの救い主の誕生を確かめに行ったのでしょう。 ヨセフとマリアも同じです。二人は結婚前にイエス・キリストの誕生の知らせを聞きます。それはあって欲しくない出来事でした。夢見た結婚生活とは程遠いものであり、もしかしたら姦淫の罪の烙印を押されるようなそんな知らせです。奈落の底に突き落とされたような思い。

それでも二人は確かに宿ったこの新しい命を受け入れます。 様々な闇の中、イエスは誕生します。人々の悲しみや悩み、罪や思い煩い、その闇のど真ん中に光が誕生したのです。 (牧師:田中伊策)

「光の誕生」 マタイによる福音書2章1-12節