「弱い所を大事に」 ヨハネ13:3-8

ヨハネによる福音書を読む人からよく「ヨハネによる福音書は難しい!」という言葉を聞きます。この「むずかしい」というのは、イエス様のお話される言葉も難しく書いてあるのですが、それだけではありません。イエス様がどんな気持ちなのか、分かりにくいのです。ここでイエス様が怒っているのか、悲しんでいるのか、笑っているのか、よく分からないのです。

何考えているんだろう?って思うのです。だからヨハネによる福音書は難しいのです。そしてヨハネさんはわざとイエス様がわからないようにしているのです。神様が「こうお話しなさい」と言われた言葉をそのまま語り、神様が「しなさい」と教えられたことをする、イエス様を見たら神様が見えてくる、そのためにわざとそう書いているのです。

笑いながら話してくれたら楽しいんだ、って分かる。泣きながら話してくれたら悲しいんだ、って分かる。真っ赤な顔をして話してくれたら怒っているんだ、って分かる。でもヨハネの福音書のイエス様は顔が見えないのです。だから難しい。

でも、それは「この時、イエス様はどんな顔をしていたか考えてご覧。想像してご覧」と言っているようにも聞こえます。テレビやマンガ、絵本もそうですが、絵があると表情や気持ちが分かりやすい。でも文字だけの本とか、読み聞かせとかには自分の頭で想像する楽しみもあります。ワクワクします。「聖書ももっとワクワクして読んで御覧」。そうヨハネによる福音書は伝えようとしているように思うのです。そうしたら、無機質に思えるヨハネによる福音書のイエス様がイキイキして、私達に語りかけて来るように思います。 (牧師:田中伊策)

「弱い所を大事に」 ヨハネによる福音書13章3-8節