「生きるための約束」 出エジプト20:1-17

エジプトを出たイスラエルの人たちは自分の国に向かって進んでいます。それは奴隷からから人間に戻るための道でもあります。そんな中で神様はイスラエルに十戒、十の約束を与えます。この約束は簡単に言うと二つの事だけが書かれています。一つは「あなたがたは人間です。神様である私が、あなたを心と体のある人間として創ったのです。そしてあなたを人間として生きるように助けたのです。『私はロボットでも、機械でもなく人間なんだ。神様は私達を人として生かして下さっているんだ』その事を忘れないようにしなさい。」ということです。「あなたには、わたしをおいて他に神があってはならない」(第一戒)という最初の約束は、「人だとか、物だとか、そんなものを神としたら、人間らしい生き方は出来ません。人間として生きるように命を与えた私だけが神なのだよ」ということです。

もう一つは、「人間として生きるためには、他の人と仲よくしましょう」ということです。「あなたの父母を敬え」(第五戒)という約束は、これは小さな子どもにお父さんお母さんを大切にしなさい、と言っているのではなく、大人に対して「年をとったお父さんやお母さんを大事にしなさい」と言っています。生きる、ということはそれだけで大変な事です。楽しい事も嬉しい事もたくさんあるけれど、困った事や、悲しい事もたくさんあります。そんな事を何度も越えて年をとった人を大切にする、ということは、生きるということの重さを感じるということです。「敬え」と言う言葉は「重い」という意味があります。一つ一つの命の重さを感じなさい。それは、機械のように働いたり働かせたりするエジプトから出たのだから、命ある人として一緒に生きるんだ、という神様の促しです。その後の戒めも、流される事無くしっかりと心と身体をもって人間として生きようよ、と神様は言われています。 (牧師:田中伊策)

「生きるための約束」 出エジプト記20章1-17節