「平和の誕生」ルカ2:10-12

「天使は言った。『恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。』」(ルカによる福音書2章10-12節)

イエスの誕生についてルカによる福音書では、野宿しながら羊の群れの番をしていた羊飼いに救い主の降誕の知らせが届きます。どうして羊飼いに知らされたのでしょうか。

その答えは天使の言葉の中にあります。天使は「民全体に与えられる大きな喜びを告げる」と言っていますが、この言葉は口語訳聖書では「すべての民に与えられる大きな喜び」となっています。「すべて」というのは「一人残らず」ということです。一人でもこぼれていたら、一人でも除外されていたら「すべて」にはなりません。

つまり、羊飼いは社会において除外されていた、人の数に入れられない階層の人々だったということです。だから羊飼いのところにこのメッセージが届いたのです。「この社会は生まれた場所や話す言葉、皮膚の色や食べる物、知っている事や出来る事、仕事や行った学校、そんな違いで分けて仲間はずれをするけれど、神様は違うよ。一人として神様の愛から漏れることはない。だからあなたがたのところに来た。あなたのために救い主は生まれたのだよ」って。

「一人として神様の愛から漏れることはない」。その「一人として」を「この私が」と思えた時に救いは訪れます。そして、そこから新しい喜びの歩みが始まります。それは、私も仲間はずれをしない、敵を作らない、そういう生き方です。しかしそれはとても難しい事です。でも、それで良いのです。「愛するって難しいなぁ」と思ったらその度に「神様の愛は大きいなぁ」って気づくのですから。そしてまたそこからスタートです。(牧師・田中伊策)

「平和の誕生」ルカによる福音書2章10-12節