「私達の間に宿られた恵み」 ヨハネ1:14-18

ヨハネは、この方について証しをし、声を張り上げて言った。「『わたしの後から来られる方は、わたしよりも優れている。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのはこの方のことである」」(15節)とあります。バプテスマのヨハネはイエス様よりも先に人々に神の国を語り、やがて私よりも優れた方が来る、と言いながら、同時にこの方は私よりも先におられたと言います。

「後から来る方は、わたしよりも前におられた」というのは不思議な言葉です。これはつまり、神様は私たちよりも前におられる。私たちの命よりも先にあり、愛し、選んで命を与えられた方です。このすべてに先立っておられる神様を正しく伝えるのは私よりも後から来るイエスだ、と言っているのです。

この「わたしの後から来られる方は」「わたしより先におられた」、この言葉は「わたし」の後と先を挟んでいます。つまり、私たちは神様の恵みに挟まれている。生まれる前から死に至るまで、いえ、その先まで私たちは神様の恵みの中にある。私たちを後ろからささえ、私たちを前から導く方。私たちの真ん中におられる方は私たちを恵みによって挟んでいます。

それだけではありません。「わたしたちは皆、この方のみち溢れる豊かさの中から、恵みの上に、更に恵みを受けた」とあります。わたしたちの上にてんこ盛りに恵みを加えて下さる方だ、というのです。私たちは神を知らなかった時から神様に愛され、恵みを受けていたけれど、その方を知った時、イエス・キリストによってその恵みの大きさに圧倒されます。

私たちのうちにイエス・キリストが宿る時、前にも後ろにも神の愛に挟まれている事を知り、そして上にも神様の恵みが積み重なるように与えられた、というのです。私たちの内におられる神は、前にあり後ろにあり、そして上におられる。私たちは恵みに「囲まれている」というのです。(牧師:田中伊策)

「私達の間に宿られた恵み」ヨハネによる福音書1章14-18節